生徒会長様の憂鬱
すると彩賀さんとハルは目を丸くして同時に顔を見合わせてそれから同時にこちらを見た。
妙に息の合う仕草が何だか可愛らしい。
「そんな、当然ですわ」
彼女は目を細めて私に笑いかけ、それから同意を求めるようにハルへ視線を振る。
「ね、桝古くん」
「とーぜんっ!」
大袈裟に胸を叩く彼を見て拍子抜けしてしまい、なんと答えればいいか解らなくなってしまった。
「そっか」
むず痒い、胸元がくすぐったい。
引っ越してくる前、周囲は私を怖がるか媚びを売るかどちからだったから。
嬉しい。
「ミッチャンとの話するのも楽しかったしねー!」
ハルが思い出したように身を乗り出して私を覗きこんだ。
「ミッチャン?」
「執事のミッチャン」
あぁ、深月さんか。
そう言えば深月さんは升条の本邸に戻ったのだろうか。
挨拶もしないまま飛び出して来てしまった為何も解らないし連絡先もしらない。
ていうか、私この学校に残れるのか?
升条家と縁が切れるのはほぼ100パーセント間違いないとしても、授業料払ってくれているのはあの社長だ。
強制退学…!?
「あわわわわ」
「どしたの?」
いや待てよ、普通授業料って半年分とか区切りで払うよね、だったらOKなんじゃ…。
「はっ!」
893!!!
『耳そろえて返してもらおうか、[ピー]円』
あまりの金額に現実から逃れようと脳内で自主規制が入る。
なんというか…想像を絶する額なんだろうな…。
「ふへへ…」