生徒会長様の憂鬱
ソファーに右から、私・ハル、部屋の隅から持ってきたイスに座る雛菊くんは私の向かいで真剣に話を聞いていた。
「ふーん」
勿論、相手は誰だか話さなかった。
断片的に、事の流れを説明すると彼は。
「久遠寺に振られて良かったな、好きなヤツ居たんなら」
と呟いた。
…、つうか、なんで私初対面の人に悩み相談してるわけ?
ハルの人懐っこい雰囲気と雛菊くんの懐広い雰囲気がそうさせてるの!?
人間って怖い!
「気になるなら聞いてみればいいじゃねーか」
ストレート!!
そう言う事じゃないし!
それが出来ないから困ってるのに!
「本当ヒナは、女の子を分かってないなぁ」
誰!!!
今私でもハルでも雛菊くんでもない声が聞こえた!
第二の私ですか!?二重人格設定ですか?
突然部屋に響いたのは、艶があり鼓膜を撫でるように響く、所謂“いい声”。
慌てて扉の方を見ると、またもや知らない男が立っていた。
明るい髪は肩に近いほど伸びていて緩いパーマで毛先が揺れている。
センターで分かれた前髪で綺麗な額が見えた。
なんか、ホストみたいな人だ。
この人も園芸部だろうか。
だとしたらキャラ濃すぎだろ。
「鈴夏ちゃん初めまして。ナルって呼んでね」
「はぁ…」
ナルって芸名?
ナルシストのナルかな、そんなあだ名付けられて…いじめられてるの?
いや、でも自分から嬉々として名乗ってるし。
ささっと空いていた私の隣に座り、足を組んでスカしたようにニコリと笑った。
なんだこの人。
女たらしか?
「ナル、お前探してたんだぞ!部長に買い出し頼まれてただろうが」
「校門前に可愛いマドモワゼルがいたものでね、つい」
「つい、じゃねーよ。俺だけじゃあの量は持てきれないんだから、一人じゃいけねーし」
「大丈夫だよ、俺は荷物持たないから」
「なんでだよ!お前は何しに行こうとしてたんだよ!」
「女の子探し」