生徒会長様の憂鬱
えーっと。
えーとえーと。
「ゴメンナサイ」
とりあえず謝らなければいけないと言う結論に行き着いたので頭を下げると、要冬真は疲れたようにため息をついた。
「突然妙な呪文唱えて飛び出したから取り憑かれたのかと思った」
と、真顔で言ったもんだから吹き出しそうになっが、何とか堪えた。
というか、さっきの放送内容聞いてなかったのかしら?
私の勇気は?
どうしてそうやって無碍にするの?
シカトなの?
私は自分で思っている以上に表情が歪んでたらしく、一瞬静まり返った室内で要冬真が口を開いた。
「なんだよその不服そうな顔は」
「別に!不服なんかじゃありませんが」
座ったままの私を覗き込むようにして腰を曲げた彼は、小さく笑って元に戻った。
それを追うように顔を上げると、ニヤリといやらしい笑みを浮かべている。
その要冬真の表情に、何故か感じたイヤな予感。
「大胆な告白ありがとう」
「!!」
「今更だがな」
ウザイ!
そして触れられないと悔しいが触れられたら触れられたで恥ずかしい!
「だ、だって!」
思わず椅子から立ち上がり、私は要冬真を睨み上げた。
椅子がその反動で後ろへ後退する。
「だって、そういう決まりだし、なんかよくわかんないし…いままでと、一緒だし…」
「違う方がいいのか?」
顔が近付き大きな目が楽しそうに細められた。
「違うけど!」
一気に顔が熱くなるのを感じて目を逸らす。
そういうことじゃないけど、違うけど…。
「言わなきゃ、わかんねぇか?」
頭を大きな手でガッチリ掴まれた。
無理やり合わされた目は黒目がちの優しい目。
緊張で、死んでしまいそうだ。
要冬真が、何かを言おうとしているが分かったから。
真っ直ぐな瞳に動けなくなる。
彼の口元が動くのを、ぼんやりと眺めていた。
「俺は、お前が好きだ」