生徒会長様の憂鬱


寒い…、寒い。寒い寒い寒い!!!!!!


ストーブつけてコタツに入っているのにも関わらず!
寒すぎる!!!



深月さんとの再開を果たしてから一週間が経った。
そして、冬休み開始まで一週間を切った。


冬の朝、もちろん学校は今日もある。
寒いからお休みします、と。
コタツから出て来れないんで休みます、と。

寒さを理由にすれば20種類くらい出てくるのに、どれも却下されそうだ。


布団からは脱出したものの、目の前のコタツに目が行ってしまい今の状態にある。
出来れば出たくない、つうかコタツと一緒に登校したい。




カタツムリ!!





カタツムリ鈴夏として生きていこう。

新たな自分の人生の方向性が決まった所で、最近頻繁になるようになったチャイムが鳴った。
最近訪問者が増えたと思う。

いや、増えたと言っても要冬真・鈴臣さん・教材の売り込みだけど。




「…」




無視して良いかな。
寒いから、無視して良いかな!!!






「鈴夏様?」







チャイムの音に混じって聞こえた控えめな声に私は耳を疑った。

聞き取れるか聞き取れないか、それくらい小さなものだったけど間違いない。
冬に不似合いな小鳥がさえずるような声、ついこないだ聞いたばかりの大好きな声だ。




「深月さん!?」




私は寒さを忘れてコタツから飛び出し、扉を開けた。
案の定目の前に居たのは青い髪の男。
短いその長さには未だに慣れないが、頭身の高い彼に似合っていると思う。
深月さんは普段通りの無表情のまま、こちらを見下ろして単調な口調で言い放った。


「学校に遅れますよ、こんな時間まで寒いからと言って出なかったんでしょう」





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