生徒会長様の憂鬱
「はい?」
なぜ分かる!?
エスパーか!
「ですから、学校に遅れますよ」
いや、あの聞こえてるよ。
聞こえてるんだけど…、突然どうしたの?
なんでここに居るの?
「あ、いや…、うん寒くて…」
しどろもどろになってようやく返答すると、有無を言わさぬというような勢いで深月さんが口を開く。
「朝食を食べる時間もないですよ、これでは今までどう生活していたんですか」
「あ、朝ご飯は食べない…とか?」
おどける様にお茶目に笑ってみせると、深月さんは呆れた様にため息をついた。
え!ごめんなさい!!!
なんだか呆れられた!
そんな彼の淡々とした口調にお嬢様修行をしていた頃の記憶が走馬灯の様に脳内を駆け巡る。
あれ、私これ死ぬんじゃないか?大丈夫なのか?走馬灯って。
死ぬんじゃないか?
「明日からは朝食は私が用意しますから」
「え!!通い妻!?これが噂の通い妻!?」
「あ、申し遅れました。明日から隣に住む事になりました。琴理と申します。よろしくおねがいします」
「ええええええええ!」
まるで執事のように頭を下げる深月さんに、私はただ唖然とする事しか出来なかった。
fin