生徒会長様の憂鬱





「おれは何か伝えたくて、花を育てるの。ねーリン、紅色のコスモスの花言葉、知ってる?」



繋がれた手を引かれてゆっくり歩き出した。



「しらない」


私の声に答える様子もない彼は花壇や噴水の間を抜けてやってきた水道の前で、蛇口を捻る。

痛そうな水が噴き出して彼の手を冷やしていった。



ああ、見るからに寒い。

ハルの土まみれの手から解放された私の手は完全にその恩恵を受けて汚い色がついている。

残念ながら洗う気は起きない。

お湯持って来い!!




「乙女の愛情」




コンクリートにぶつかる水音はそのままに、すっかり綺麗になった小さな手から滴が落ちて地面に消えた。
ハルはYシャツで乱暴に両手を拭く姿は非常に子供くさい。




「おれ、リンに素直になってほしくて」




ほら手、貸して。と私の返答も聞かず手首をギュッと掴んでハルは、流れっぱなしだった冷たい水道水の上に押し出した。



「ギャー!!つっめだ!」



「リンうるさい!」



一度綺麗になって水気がなくなったはずのハルの手がまた濡れていく。
水が飛び散る音にハルの笑い声が混じって辺りに響き渡った。
その音が手に染みて痛い。



冬の水道なんて過酷!
死ねー!手が痛すぎる!



「つぅぅぅめたぁい…」



「我慢してねー!もう手汚いんだから!」



「汚いって!あんたが私の手握るから!くらえ!」





冷え切った手で水を溜め込みハルにぶつけてやる。



「わー!冷たい!かぜ引いちゃうじゃんリンのバカー!」



「ギャ!あんた女の子に向かってー!食らえ!ハイドロポンプ!」



「つめたい!これならどうだ!アクア!」



「ヒャダルコ!」



「マヒャド!」



「ギガデイン!」



「パルプンテ!」





「お前らなにやってんだ!!」



「ギャー!」


「ギャー!」




何が起こるか分からない魔法・パルプンテ。

見事に要冬真が召喚された。





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