生徒会長様の憂鬱
それが何を意味しているか理解した瞬間、私の体温は生きてきた中で一番急速に上昇し、心臓はとりあえず死んだ。
「おおおおまえ!コロス!」
殴りかかろうと膝に力を入れたが、振り上げた右手を捕まえられ前に倒れてしまった。
甘い香りが花を掠めて視界が一気に暗くなる。
「そうか、お前はそんなに俺が好きか」
厚い胸板から振動して伝わる声。
離れようと暴れる私を軽々押さえつけて、両足で体を引き寄せる。
余計密着した体に頭の回路がショート寸前だ。
「ちっちがう!」
要冬真の言葉に反論しようと顔をあげるといつもの人をなめきったような笑顔で此方を見下ろしている。
「じゃあなんでドキドキすんだ?言ってみろよ」
要冬真は私を解放して、距離を取った後なんの躊躇いもなく手を伸ばし頭にそれを乗せる。
人をからかう時の顔だ。
「そ、それは…」
くそ!
なんだよ分かってんだろそれ位!
大体さっきの子供モード完全に嘘だろう!
「まぁ、なんにせよ慣れてもらわねえとな」
「え!なにに?」
「俺に」
「いや、なんか嫌な予感がするからいい」
「拒否権は認めねぇ、俺だって傷つくんだぞ」
え、そう言われちゃうと反論し辛い!
「いや、それは申し訳ないとは思って…」
「大丈夫だ、別に全裸になれって言ってんじゃねぇよ。それは最後だ」
「最後!?ちょっとまて!それはダメ!いけないよそういうのはこのサイトでやっちゃダメだと思うの道徳って大事!サイトの年齢層考えて!」
「とりあえず、俺に抱きついてみろ」
「大体利用規約にも散々って、え?抱きつくの?」
「やってみろ」
だからこんな距離おかれたのかしら。
私と要冬真の距離はやく三十センチ。
慣れるためには、こういうも必要なのかな?
抱きつくくらいな、私にも出来るかも。
生唾を飲み込んだ。
ニジリニジリと座ったままヤツに近づいていく。