生徒会長様の憂鬱
「マサノリさん」
「おー、純おはよ」
フランダースの犬で泣いた奇特な女子高生を目撃してから一週間後。
俺には早速舎弟が出来た。
体育館裏でお決まりのごとくタムロしていた男子高校生@不良に話しかけ、見事に取り込んでやったのだ。
その集団の中の親玉であろう、純。
淡いブラウンのキューティクルに耳が擽られている。そこには軟骨から耳朶まで複数のピアス。
甘いマスクでそんな痛々しいピアスはどうかと思うが、接した感じは物腰の柔らかい普通の青年だ。
まぁ、キレたらわかんねーけど。
純は、俺を見た瞬間徒者ではないオーラを感じ取ったのか初対面から印象は良かった。
ただワンピースは読んだことないらしい。
「この村慣れました?」
「いや全然。なんもねーなここホントに」
「そーっすね」
「ワンピースの新刊入るのおせーし」
「それはどうでもいいんですけど、今日うちの馨が屋上で面白いことしますよ」
純は、特に面白そうでもなんでもないように無表情でそう言った。
馨と言うのは純と同じグループの男だ。
「ホントに面白いのか?お前の口調にワクワクしねぇ」
俺は常にワクワクを求める男だ。
「うちの学校のNo.2に喧嘩申し込みましてね」
No.2
なんだか引っかかっる言葉だ。
「喧嘩ふっかけんのはいいが、なんでNo.2?」
「あぁそっか…マサノリさんは入れ替わりだから知らないんだ。金一高のNo.1亡霊」
「亡霊?」