生徒会長様の憂鬱
「だから今の金一高No.1は、永久欠番のその人を数えて周りはNo.2って言う認識なんですよ」
「へぇ」
亡霊ねぇ。
居なくなったヤツがこの学校の番長だということだ。
馬鹿馬鹿しい。
居ないヤツがどうやって番長になるんだよ。
そいつがいくら美人で優しくて喧嘩強くても、この村に存在していないなら俺には関係のない話だった。
「興味なさそうっすね」
「だって居ねーんだから、興味持てって方がおかしいだろ。俺はその…、名前知らねーけど」
「アオイさんです確か」
「そのアオイさんとやらと手合わせもしてねーわけだし?」
「あんま喧嘩に興味ないんだ」
「まぁ…そんなん流れだろ」
そう。
ぽっと出の転校生が、滝を登るようにNo.1になったってすぐに潰される。
先ずは仲間を作り取り込み、輪をゆっくり広げるように勢力拡大を計るのが頭のイイやり方だ。
まぁ今回は、最終的なボスに当たる現番長を視察するのも悪くない。
「んでなにか?そのNo.2に馨が勝ったらヤツが番長になるのか?」
「あー別にそういうんじゃないっすよ」
「は?じゃあなんで喧嘩してんだよ」
「まぁ、遊ぶものがない子供達の唯一の楽しみみたいな感じじゃないんですか?今のNo.2が学校仕切ってるわけじゃないですし、あ、タバコとか吸ってんの見られたら跳び蹴りくらいますけどね」
俺もそれで痛い目にあったことが…、と純は遠い目をした。
「まぁマサノリさんも、一回No.2の喧嘩は見といた方がいいんじゃないっすか?」
「そうか」
俺はそんな純の言葉の意味を大して考えもせず、放課後促されるまま屋上へ足を運んだ。