苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「仕方ないな。
 俺がなんとかするから心配するなって、都ちゃんに伝えておいて」

「すみません。
 なんなら、俺が白瀬を探しましょうか?」

「いえ、次期総長がそんなことしたら、白瀬が特別だと思われるのでやめておいたほうがいい。
 もちろん、お分かりでしょうけど」

「……そっちはどうでもいいんです。
 彼女の機嫌が直れば」

俺は思わず本音を吐く。
紫馬さんは、くすりと笑った。

「自分も心配だって言って、キスの一つでも落としてあげれば彼女の機嫌は直りますよ。
 そして、紫馬に任せたとでも言っておいて。
 じゃ、また」

紫馬さんは一方的に言うと、電話を切る。
父親の台詞として、ちょっとどうかと思うけど、それが紫馬 宗太なのだから、仕方が無いか。

「……パパ、なんて?」

都さんは、心配そうに俺を見上げていた。
……本当に。過剰なほどに、誰にでも優しい子なんだから。

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