苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
俺は膝を折って、都さんと視線をあわせた。

「白瀬のことは一任してくれって言われてしまいました。
 私が動くと話が大きくなるんです。
 折角都さんが頼ってくれたのに、ふがいないお兄ちゃんですみません」

素直に謝ると、都さんも少しは冷静になったのか、膨らませていた頬を元に戻してくれた。

「……だって……」

その頭を撫でながら続ける。

「白瀬は、余所の組と勝手に争ったんです。
 怪我を治すためとはいえ、私が見つけたら、そこを咎めないといけなくなる。
 そうすると、白瀬はこの組にいられなくなるかもしれませんよ?」

「……そう、なんだ」

事情を説明すると、ようやく納得してくれたのか、都さんはゴメンナサイと、小さく呟いた。
その表情に、こっちの胸が痛くなる。

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