苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
怒り狂った青年が、都さんに襲いかかろうとしている。
最悪、銃殺も視野に入れて、……つまり、ポケットの中の拳銃を握りながら……二人のやりとりを死角で見守る。

――ガツッ

飛び上がった都さんは、男に向かって見事な蹴りを入れた。

まさかの反撃に、男は空を舞い、アスファルトの上に転がされた。

「……てっめっ」

「起きないほうが身のためだ」

その間に、男の傍まで歩いてきた俺は、殊更に低い声でそう告げた。
上を見上げた男は、眩しそうに目を細める。

俺の姿はシルエットでしかまだ、見えてないだろう。

起き上がろうとする男のみぞおちに蹴りを入れる。
気を失っているコイツは、部下がなんとか処分してくれるはずだ。

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