苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「ヤクザなんて因果な商売だ。
 傍に居るものを次から次へ不幸にしていく。
 ……それなのに、気づけば自分だけが怖ろしいほどの地位や金を手にしている」

自嘲的に紫馬さんが言う。

……それは嘘だ。
彼はどこからどう見ても、ふざけた冗談のような人間にしか見えないが。

……それは、そうにしか見えないように装っているだけ。
緻密な計算。
迅速な行動力。

彼は、傍目には絶対に見えない場所で努力に努力を重ねて今の地位を築き上げている。

……じゃあ、俺は?

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