苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
うーん。辿った先はうちの組じゃなくて、向組かぁ……。
放っておこうかしら。

私は集めた情報を頭で組み立てながら、本家のダイニングでバニラアイスをつついていた。

「深刻な顔して、何かあったんですか?」

声を掛けられてびっくりした。

「大雅――どうしたの?」

「自分の家に帰ってきただけですよ。
 いけませんか?」

「……いけなくはないけど……」

確かこの一週間、関東を離れるって言ってなかったっけ。
大雅がここに来ると思ってたら、こんなところで考え事なんてしなかったのに――。

「おや、つれないですね。
 もっと喜んでくれてもいいじゃないですか」

大雅は整った顔を崩して、ふわりと笑う。

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