苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「なんですか?」

まるでキスなんてなかったかのように、何でもない顔で大雅が聞いてくる。

「なんですかじゃないわよっ。
 学校の中の問題くらい、私が何とかするわよ。
 明日、売春斡旋クラブのリーダーと接触して――」

「都さんっ」

鋭い声が、空気を引き裂く。
私は思わずびくりと、カラダを固まらせる。

一瞬険しい顔をした大雅は、でも、思い出したように、唇を解いた。

「そんな危ないこと、しないで下さい――」

お願いですから、と。
ことさら優しく囁いてくる。

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