苺祭的遊戯(ショートストーリー集)

・看病

――うわ、どうしよう。

私はメールを見て顔を引き攣らせた。
正志が交通事故にあって、病院に入院したという知らせ。

もっとも、正志本人からメールが来たのだから、命に別状はないのだろう。

お見舞い、看病――

どうしたら良いのか、全く見当が付かない。
私は、一週間に一度のサークルのミーティング途中だったけれど、何もかも頭に入らなくなっていた。

「彩、どうかした?」

皆の輪の真ん中で、談笑していたはずの、ヒコが、ミーティングが終わった後、気づけば私に声を掛けてきた。

油断ならない、神出鬼没のヤツなのだ。
だいたい、普段、ミーティングの後、声を掛けてきたことなんてないじゃない。

「正志が、事故って入院したんだって――」

ちなみに、正志というのは私の彼氏で、このサークルのメンバーでもあるので、ヒコにとっても、旧知の間柄だ。

「ああ、昨日ね」

さらり、と。
テレビのニュースで見たかのようにあっさり言う。

「ちょっと、なんでアンタ、私より先に知ってるのよ?」

「さぁ。……それは秘密です。
何?見舞いに行くなら付き合うよ」

「でも、さすがに今日は、まずいでしょう?」

病院なんて5時くらいで面会終わっちゃうんじゃないかしら。

「いいよ、別に。
そういう時のために、看護師さんがいるんじゃん」

……違うと思いますけど?

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