苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「ニシハラさんとは、どちらのオネエさまで?」

「あれ?妬けちゃうの?」

「誰がっ」

私の突っ込みなんて聞かずに、ヒコはくすりと笑う。
嫌な男。
きっと、世界中の女性が自分に気があると思い込んでいるに違いない。

「合コン相手の看護師さん☆
やっぱり、合コンってやっとくべきだよね」

いや、「べき」ってほど重要なものかどうかは知りませんけど。

呆れ顔の私に、ヒコは付け加える。

「この合コン、正志が誘ってくれたんだよね」

あまりに当然のようにさらっと言う。

だから、私はヒコの真意を疑う前に、正志相手に腹を立ててしまった。

お見舞いどころの話じゃない。
静かにしなきゃいけない病院で、痴話喧嘩よ。

――結局、その帰りの車の中で、私は。

ヒコを相手にクダを巻くことになったのだ。

もしかして、私の失恋率が高いのって、そもそもコイツが邪魔しているからなんじゃないの――?


そう私が勘繰ってみるのは、まだ、ずっとずっと、後のお話。

Fin.
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