苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
・旅行
「彩ちゃん。伸彦知らない?」
日焼けした顔で、耕介が聞いてくる。
大学三年の夏休み、私たちは、サークルのメンバー10人で海に来ていた。
「日焼けしたくないってぼやいてたから、海の家にでもいるんじゃないの?」
海からあがってきたばかりの私は、上着を羽織ながら答える。
日焼けしたくないのに海に来るというその精神構造が良く分からない。
「探してきてくれない?」
「嫌よ」
「……相変わらず冷たいねぇ」
にやり、と。
耕介が良くない感じで笑う。
「じゃあさ、彩ちゃん、火をおこしてくれる?」
……バーベキューの準備。
無理に決まってるじゃない。
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日焼けした顔で、耕介が聞いてくる。
大学三年の夏休み、私たちは、サークルのメンバー10人で海に来ていた。
「日焼けしたくないってぼやいてたから、海の家にでもいるんじゃないの?」
海からあがってきたばかりの私は、上着を羽織ながら答える。
日焼けしたくないのに海に来るというその精神構造が良く分からない。
「探してきてくれない?」
「嫌よ」
「……相変わらず冷たいねぇ」
にやり、と。
耕介が良くない感じで笑う。
「じゃあさ、彩ちゃん、火をおこしてくれる?」
……バーベキューの準備。
無理に決まってるじゃない。
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