苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「何よ、言ってよ。
 気になるじゃない」

「オギワラさんは、伸彦の友人。
 ファンクラブ公認の女友達。
 ねぇ?」

……は?

呆然として言葉が浮かばない私の隣で、ヒコは大人びた笑いを零す。

「どうやらそうみたいだね。
 アヤは別格なんだって」

「……なんで?」

ヒコが唇の端を歪める。

「さぁ。男に見えるんじゃない?」

「あ、いえてるっ」

そこのドラマー、同意するなっつーーのっ!!
今日だって私は、可愛いワンピできめてるんだからねっ!!

「次なんで準備してくださいねーっ」

部屋の中から後輩が出てきて、私たちに声を掛けてくれる。


だから私は、複雑な感情を抱えたまま、ボーカルデビューしなければいけなくなったのだ。

Fin.
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