苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「俺の隣に居るには丁度良い衣装じゃないか。
そう思って、このスーツだって新調したんだし」
「いいい、衣装って。
結婚式じゃあるまいし」
動揺する私に、キョウは黒曜石の瞳を向けて微笑すら浮かべながら言う。
「じゃあ、結婚式挙げる?」
「ああ、あげるわけないでしょっ」
どこまでが冗談で、どこまでが罠か掴めない。
「ま、俺はこのままユリアが裸でいてくれても一向に構わないんだけどね」
色っぽい視線で、緩やかに手を伸ばし私のあごにかける。
「わわわ、分かったわよ。
着ますっ、着ればいいんでしょう?」
私は反射的に後ずさって、キョウを見た。
それでなくても、魔界の空気は重いのに、身体に負担をかけるような行為に望むのは……あまり好きじゃない。
それを知ってか知らずか。
キョウは整った顔に極上の笑みを浮かべている。
「そう、着ればいいんだよ、ユリア。
着なくてもいいけどね」
この男に翻弄されなくなる日は来るのかしら。
ため息をかみ殺して、私は、キョウを追い出すことから始めることにした。
Fin.
そう思って、このスーツだって新調したんだし」
「いいい、衣装って。
結婚式じゃあるまいし」
動揺する私に、キョウは黒曜石の瞳を向けて微笑すら浮かべながら言う。
「じゃあ、結婚式挙げる?」
「ああ、あげるわけないでしょっ」
どこまでが冗談で、どこまでが罠か掴めない。
「ま、俺はこのままユリアが裸でいてくれても一向に構わないんだけどね」
色っぽい視線で、緩やかに手を伸ばし私のあごにかける。
「わわわ、分かったわよ。
着ますっ、着ればいいんでしょう?」
私は反射的に後ずさって、キョウを見た。
それでなくても、魔界の空気は重いのに、身体に負担をかけるような行為に望むのは……あまり好きじゃない。
それを知ってか知らずか。
キョウは整った顔に極上の笑みを浮かべている。
「そう、着ればいいんだよ、ユリア。
着なくてもいいけどね」
この男に翻弄されなくなる日は来るのかしら。
ため息をかみ殺して、私は、キョウを追い出すことから始めることにした。
Fin.