苺祭的遊戯(ショートストーリー集)

・友情と恋情の間2(09.05.20)

友情と恋情の間で10のお題

2.言わなくても伝わるから


「ねぇ、ヒコ。
 ネクタイピンいらない?」

「……は?」

Tシャツ姿の彼は、いぶかしむ顔を私に向ける。
大学の昼休み。

外の芝生に座って、私たちは学食で買ったサンドウィッチを頬張っていた。

どうして違う学部の私たちが二人で食事を取っているかと言えば……。
なんでだろう?

さっき学食で出会ったから、だとしかいえない。
別に、約束していたわけでもないし。

「ネクタイピン」

私は視線を空に向けたまま言葉を繰り返した。

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