苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「なんで?
 ほら、そこに居るから聞いてみたら?」

私は首をひねる。
つられて顔をあげた友香の頬が面白いほど紅くなっていく。

いいなぁ、可愛くて。

「今日もミックスジュース?」

その視線に気づいたのか。
ヒコがわざわざその中から抜けて、私のほうに歩いてきた。

偶然にも向かいの席は空いている。

「そうよ、今日もミックスジュース。
 いっぱいでたくさんのフルーツが取れるなんて、お得な気がしない?」

「……ものぐさなヤツだな」

「そっかなー」

言いながら私は、ホットサンドを齧る。

カレーライスでさえ、出来れば、カレーとご飯はわけて食べたいという神経質なヒコには、分からないであろうチーズとハムとパンのハーモニーを楽しみながら。

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