苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「……ねぇ、ヒコ。
 もしかしなくても、彼女っていうのはその、私のことなのかな?」

「ひょっとしたらそうなんじゃない?」

とっくに噂の真相に気づいていたのか。
ヒコは意味ありげな笑いを浮かべてそう答える。


……誰よ。
  そんな面倒な噂流したのは。

「友香、行こう」

私は空になった皿を持ってそう言った。

「ええっ? いいじゃない。授業もないし。
 私、まだここに居たいわ」

……だったら、積極的にしゃべってみましょうか?
  黙って見つめていても、何も進展しないと思うんですけど。

「じゃあ、ここで喋ってたら?
 ねぇ、ヒコ。
 彼女、友香ちゃんって言うの。私の友人。
 この前のライブで、ヒコを見てかっこいいって思ったんだって」

「……ちょっと、アヤちゃん?」

友香は焦ってるけど、だって、伝えなきゃわかんないわよ。
エスパーじゃあるまいし。

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