苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「特別枠で女装コンテストやることにしたんだけど、全然盛り上がらなかったから、ほら、うちの会長、今回ガクサイの実行委員じゃないですか。
 で、頼み込んで城崎先輩に出てもらったらしいんですっ」

……そう。
うちの会長が大学祭の実行委員を買って出たばっかりに、何故かうちのサークルのライブ、1日目がなくなってしまったの。

……その代わり、なのか。
  今年から、サークルにも関わらず、部室を一つもらえることになったんだけどね。

イマイチ、適当なうちの大学。
まぁ、どうでもいいんだけど。

「もちろん、直前までシークレットですよーっ。
 でも、極秘で教えてもらったんです、会長に」

うん、きっと。
会長はこうやって「極秘」って言いながら、全学生に触れて回っているに違いない。

私は強引に引っ張られて人垣の後ろにたどり着いた。

「ほらっ。
 城崎先輩が一番綺麗ーっ」

……確かに。
  ステージの上に、強引にチャイナドレスを着せられたと思われるヒコが、開き直ったのか挑発的な目で、観客を見ている。

他の人たちと比べて、彼の容姿の美しさが目を惹くことは間違いなかった。
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