苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
仕方が無いので、私も極上の笑顔を見せる。

いくら美形でも、男に負けるなんて私のプライドが許さないじゃないっ。

「はい、チーズっ」

いまどきないくらいのレトロな掛け声で、後輩が私たちをケータイにおさめてくれる。

……うーん、まぁまぁのデキじゃない?

確かに、仲の良い女同士にしか見えないのも、どうかと思うんだけど。

「でも、確かにこういうのって恋人同士じゃ出来ないかもーっ。
 いいなぁ、私も城崎先輩の友達になりたいーっ」

後輩は、ずけずけとモノの言える羨ましいタイプの人間だった。

撮影の終わったヒコは、煙草に火をつけてから、彼女に目をやった。

「そう?
 俺と友達?
 じゃ、とりあえず俺の部屋にあるCD2000枚、全部聞いてからお気に入りの1曲とその理由をおしえてくれる?」

「……そ、それは面倒です……」

意気消沈した彼女に向かって、ヒコは面白そうに笑っている。
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