苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
魔王様に『猫を被る』なんて表現は適切でないと分かってはいても。

うちの両親の前での彼の態度の変貌ぶりときたら、二重人格なんじゃないかって疑いたくなるくらい。

そして、二人してまるで当の本人がここに居ないかのように、失礼な会話を繰り広げている。


私のおてんばはどう考えたってママ譲りじゃないっ!!



「こちらは、いつの写真ですか?」

「ああ、それは百合亜ちゃんの7歳の誕生日の写真よ」

「へぇ」

……7歳の誕生日……

何か嫌な思い出がちらりと頭を過ぎっていく。

「どうして、こんなに大きなドレスを?」

……そうだっ。

写真の中の私は、明らかに仏頂面で、丈のあわないピンクのドレスに対する不満を訴えていた。

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