苺祭的遊戯(ショートストーリー集)

・看病

どうしよう。
朝から、キョウが動かない。
頭を触ってみたら、酷く熱くて。

……ねぇ、悪魔って風邪薬効くのかしら。

なんとなく、効かない気がして、私は市販の風邪薬を与える気がおきないでいた。

その、頭に氷タオルを載せてみたり、枕元にポカリを置いてみたりは、しているのだけれど。

傍に居ると、強引に目をあけて笑顔を作り

「大丈夫」

なんてちっとも大丈夫じゃない顔で言うから、うかつに寝室に立ち入ることも出来なくて、私はリビングで勉強することに決めた。

あ、一応現役女子高生ですから、ワタクシ。

「ユリア」

夕方、掠れた声で名前を呼ばれた。

いつもより、若干ふわふわした佇まいがとてつもなく気になるんですけど。

「ねぇ、もう、起きて平気なの?」

「……そうだな。
お腹がすいたって言っても、ユリアが困るだろう?」

昼ごはんは、おかゆにしたから。
多分、食べれたと思うんだけど。

「おかゆ、ダメだった?」

きっかり三秒、私を見てから、キョウは首を横に振る。

「とても美味しかったよ、ユリア」

……うーん、なんだか怪しい。

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