苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
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「おはよう、ユリア」

ある朝目覚めると、彼は極上の笑みを浮かべて楽しそうに私を見ていた。

……よくない、予感がする。

「おはよう、キョウ」

「今日は一緒にお出かけする約束だったよね?」

……してませんけど。

言おうと思って、口を閉じる。
そっか。

今日はどんな嘘をついても許される4月1日だったっけ。

「あら、そうだったかしら。
 すっかり忘れてたわ」

仕方がないから付き合ってあげる。
どうせ、暇だし、っていうのは心の中だけの台詞。

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