苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
どこへ行くのも指をパチリと鳴らせば自由自在のくせに、彼は今日に限ってそれを使わない。
わざわざタクシーを呼び寄せて、とあるホテルの名前を告げた。

私はホテルについて、息を呑んだ。

……だって。



ブライダルフェアって書いてあるんだけど。

「ねぇ、関係なくない?」

関係ないわよ。
私はこの4月からようやく高校2年生。

結婚式なんて、挙げる予定、ない――

「いいじゃない。
 エイプリルフールなんだから」

キョウは、口元に極上の笑みを浮かべてそう言った。


……え?

使い方間違っているような気が……。

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