苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
受付でキョウは平気な顔をしてでたらめな名前に偽りの年齢、架空の住所や電話番号を告げていた。

「そうですね、式はやっぱり6月が良いですかね。
 妻には幸せになってもらいたいですし」

なんて、滑らかな口調で喋っているけど。

……営業妨害以外の何者でもないと思うんですが。

残念ながら私に、それを伝える手立てはない。
だって、受付のお姉さんなんて、もう、キョウにメロメロなんだもん。

受付やめて、自分が案内するとか言い出しているし。

……いいのかな、そんなんで。

ま、楽しそうだからいっか。

段々、面倒になってきたので、私は案内されるがままに、ブライダルフェアを楽しむことにした。

だって、普通結婚予定のない女子高生が来る場所じゃないもの。

美味しそうな料理の試食や、ウェディングドレスの試着なんて、滅多にできることじゃないじゃない。

ねぇ。

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