苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「折角だから、試着してみませんか?」

その言葉に乗ってキョウが選んだのは、美しいウェディングドレスでもなければ、豪華なカクテルドレスでもなく――。

何故か白無垢だった。

「……着物!?」

意外なチョイスに目を丸くする。

「だって、タキシードなんていつでも着れるし」

ああ、自分が紋付袴を身に着けてみたいだけなんですね。
はぁ。

もっとも、さっきからキョウに夢中なお姉さんが私の意見を聞いてくれるとも思えない。

半ば強引に引きずられて、私にメイクとと着付けが施されていく。

(次ページへ)
< 35 / 196 >

この作品をシェア

pagetop