苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
出来て当たり前。
強くて当たり前。

そうしか見られない環境の中にずっと居た龍星だから。
こうやってあからさまに心配されるのには慣れてない。

「……んっ」

苦しそうな声にようやく顔を放せば、二人を繋ぐ細い銀糸が夕日を受けて煌いている。

「りうっ」

真っ赤になった毬は龍星の名前さえ上手く発音できなくなっている。

「本当に大丈夫かどうか、閨の中で確かめてくれる?」

「……龍っ」

真っ赤になった毬を、ひょいとその腕に抱き上げた。


こうして、傍において。
身体を重ねれば重ねるほど。

彼女にも自分の力が移ってしまう――。

それが分かっていても尚、龍星は彼女を手放す気にはなれずにいた。


胸を焦がす熱い炎は消えることなく、いつか君をも飲み込んでしまうかもしれない。
そう思っても、尚。

龍星は、こみ上げる想いを抑えられそうになかった。


Fin.



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