苺祭的遊戯(ショートストーリー集)

・おぼれた男5(09.06.08)

君におぼれた哀れな男で5のお題

5.ずっと傍にいたい。君さえいればあとは何もいらないくらいに、君を愛している。
(※性的表現有り)


俺は助け出した毬を強引に抱き上げた。
もっとも、本人には「助けられた」なんて思いは無い。

「ね、私ちゃんと敵と戦えたよね?
 龍の役に立てた?」

得意げな声が、俺の耳に入ってくる。

「……どこまで俺に心配をかけたら気が済むの?」

「心配?
 どうしてよ。私が居なかったら、龍は鬼に腕を一本取られてたんだからっ」

腕の中で声を荒げる毬は、キャンキャン吼えて飼い主にまとわりつく子犬にも似て、とても可愛い。

気づけば、吸い寄せられるようにその唇を自分の唇で塞いでいた。

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