苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
露になっていく白い肌にゆっくりと唇をつけ、舌を這わせていく。

幾度耳にしても、聞き飽きることの無い甘い声が、毬の唇から漏れる。

「りうっ」

酸素が不足するせいか、はたまた舌が上手く動かなくなるからか。
何故か、行為のたびに毬は、俺の名前が上手く発音できなくなる。

そうして舌足らずに自分の名前が呼ばれるたびに、心臓は跳ね上がる。

「りうっ。
 ああん、そこ……駄目……、だって……。
 ねぇっ」

甘い声で発せられる言葉に意味なんてない。
本気で嫌がっているとは思えないところをみつけるたびに、そこにしつこいほどに舌を這わせ、指で弾く。

悲鳴混じりの甘い声は、俺を興奮させる媚薬にしかならない。

「なぁに? 毬」

身体中に舌を這わせた後、どうしようもなく溶けそうな彼女の頬にもう一度唇をつけながら、そっと耳元で囁く。

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