苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「意地悪っ」

指先をことさら熱を帯びて湿っているところに這わせると、毬は真っ赤になって呼吸を荒くする。

蜜は花弁から溢れ、いやらしいほどに甘く俺を誘っているのに。
彼女は素直に求めてはこない。

「意地悪なのは毬だよ。
 いつだって、俺を心配ばかりさせて……」

言いながら、彼女の上に移動する。
強請られるままに接吻を与え、そのまま彼女の中に入り込んだ。

俺の唇に声を奪われたまま、甘いくぐもった悲鳴をあげる。

どこまでも乱れればいい。
熱く溶けていけばいい。

他の誰にも見せない顔を、俺だけに見せて。
他の誰にも聞かせない声を、俺だけに聞かせて。

溢れる独占欲に突き動かされるように、カラダを動かせば、彼女は淫らな悲鳴が止まらなくなっていく。

深く、深く重なり合う。
いっそ、このままずっと、重なっていられたらいいのに、と。

無理なことを願いながら、二人で果てた。


……このままずっと君を、腕の中に抱いておければいいのに。

甘い疲労に抱かれて眠る毬を腕の中に抱きしめながら、俺は、無理だと分かっていてなお、それを強く願わずにはいられなかった。

Fin.
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