苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
・無邪気な君1(09.06.19)
無邪気な君への10のお題
01. サラリと言わないで欲しい
あの男がわざわざ御子のことにかこつけて毬を頻繁に呼び出すようになったのは、由々しきことだと、龍星は大仰なため息をつく。
ここは、御所の中にある庭。
まだ歩けない小さな御子を皆で順に抱えては散歩をさせている様子は、なんとも微笑ましい。
「……で、何のご用ですか?」
自慢げにそれを見せ付ける帝に、龍星は冷たく問う。
というのも、その集団の中に愛しい人の姿を見かけたからだ。
……本当に、もう。
「あの子の将来を占ってはくれぬか?」
「それはご誕生前に行わせて頂きました。
幾度も星にお伺いを立てるものではございませぬ」
龍星は丁寧に答える。
珍しく深々と頭を下げるのは帝と視線を合わせたくないからだ。
(次ページへ)
01. サラリと言わないで欲しい
あの男がわざわざ御子のことにかこつけて毬を頻繁に呼び出すようになったのは、由々しきことだと、龍星は大仰なため息をつく。
ここは、御所の中にある庭。
まだ歩けない小さな御子を皆で順に抱えては散歩をさせている様子は、なんとも微笑ましい。
「……で、何のご用ですか?」
自慢げにそれを見せ付ける帝に、龍星は冷たく問う。
というのも、その集団の中に愛しい人の姿を見かけたからだ。
……本当に、もう。
「あの子の将来を占ってはくれぬか?」
「それはご誕生前に行わせて頂きました。
幾度も星にお伺いを立てるものではございませぬ」
龍星は丁寧に答える。
珍しく深々と頭を下げるのは帝と視線を合わせたくないからだ。
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