苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
もっとも、ケーキを食べ終わった頃には、都の機嫌はだいぶ直っていた。

清水は裏庭から竹を取ってこさせた。
折り紙は、山のように在庫がある。

いつか、図画工作で使うー、と都が言ったら、紫馬が大量に買い付けたからだ。
あの人の買い方は限度を知らない、と、清水は思う。

天の川の作り方は忘れてしまったが、輪飾りくらいは作れた。

『ねぇ、本当に織姫と彦星、今日会えるの?』

天の川を作りながら、都はまだ疑いの目を大雅に向けている。

『大丈夫。
 年に一回しか逢えないんですから、雨くらいで諦めるわけないじゃないですか』

『でも、天の川が氾濫するってっ』

『大丈夫。
 お兄ちゃんが彦星だったら、一年間かけて、大雨に対応できるような策を練ります。
 彦星だってきっと、そのくらいしてますよ』

くしゃりと、大雅が都の髪を撫でる。

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