苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
……想像力じゃなくて、感情の問題だよ。

いつか、紫馬にそう笑われたことを思い出す。
そういえば、紫馬は感情豊かなのか。
それとも、あの感情さえ、何かでコントロールしているのか。

……読めないヤツだ。

そう思って、清水は、グラスを手に取った。

「そろそろ、約束の時間、過ぎたんじゃない?」

顔なじみのママはくすりと笑う。


最初ここに来て、
「あら、珍しいわね、清水さん。お独り?」
と聞かれたので
「紫馬のカシラに呼び出されたんです」
と、答えた時、ママは
「騙されてるわね」
と、断言したのだ。

本当にそうなのかもしれない。

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