姫に王子のくちづけを…
『しょうがないから協力してあげる、だけど一つ条件がある』
1秒が長い
さわさわとそよ風が俺の髪をすり抜ける
「…なんだよ」
『なにがあっても…彼女を想う気持ちを曲げないこと、これが条件』
なにがあっても…
「お前…何する気だよ」
若干いつもより低い声が出た
『そんな怖い顔しないでよ、私はいつでも彼方の味方だからさ』
風は吹かなくなった
太陽の暑苦しさだけがやけに目立つ
今度こそ後ろを向いて千秋は屋上から出て行った