姫に王子のくちづけを…
キキィ
ガチャン
…ドアを閉めると
外との明るさの差で目の前がくらくらとする
『…彼方、十分立派な王子になってるよ』
フフンと裏の顔で笑う先には
1人の男子
『そりゃどうも、でもウチの姫の機嫌がまだ直ってねえよ?』
どうするんだよ
と付け加え次の言葉を待っているようだ
『大丈夫だよ、それは何とかなるから』
表の顔でニカッと笑い
とてつもなく嬉しそうな笑顔を浮かべて千秋は階段を下りていく
嬉しそう
いや
楽しそうと表現した方がいいのかもしれない
『あんまりかき回すのだけはやめてくれよ』
『限度はわきまえていますっ!』
それだけいうと後ろを振り向かずに
器用にスキップしながら階段を下りていき
見えなくなった