姫に王子のくちづけを…
「そ、そう?ちゃんと笑ってるじゃん」
図星だ
あの日から
笑うことの出来ない自分には気づいている
だけど
笑ってないと心配させてしまう
私は晴臣に向かってニヘラッと笑った
『いや、笑えてないよ…由香里があいつに「最低!」って言った日から…』
ドクン
「え…見てたの?」
何であの日の事を知ってるの…
『…俺が見たのは、叫びながら教室を飛び出していく由香里と
その後のあいつだけだ』
外からは
下校する人の声が聞こえてくる
ここだけが
その楽しそうな雰囲気とは
別の世界になっている
全く逆の
静かな、沈黙の世界