姫に王子のくちづけを…
『チッ、何だよあいつ、感じわりいなぁ…
由香里、俺もう少しで部活終わるからさ、それまで待っててよ
足痛いんだったら送ってくから』
晴臣は私を持ち上げて椅子に座らせ
柔らかく笑って保健室から出て行った
…晴臣が出て行った後も
私は放心状態で
足の痛みなんかも忘れ
ただただ
何でこんなに心が痛いんだろうと思っていた
…もしかして
私があの時足がいたいのを無理してでも頑張って走って追いついていたら
これからの未来は変わっていたのだろうか…
外では
いつの間にか夏を告げるセミが一つ
夕日と一緒に鳴いていた