姫に王子のくちづけを…




【稜雅SIDE】




「あいつ…絶対にアホだろ」



今日は雨




たぶんあのへたれは教室にいるだろう








1年2組の前まで行くと教室の扉は開きっぱなしで

見覚えのある女の子が扉の近くにいるのが見えた





「なあ、千堂彼方おる?」




俺がそう聞くと

私ですか?


みたいな不思議そうな顔をしていた





あー、たぶんこの子俺のこと覚えてねえわ




『あ…『彼方くーん!東堂さんが呼んでるよー!』



その子が答えようとしたら


どこから湧き出たのかしらねえが

目の周りが真っ黒な女が



絶対普段の声より1オクターブほど高い声で先に呼んだ








チラッとさっきの子の方を見ると

ぺこっと頭を小さく下げて友達らしき奴がいるほうへ急ぎ足気味に立ち去った










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