白と黒と永遠と。
胸ポケットに入れておいた通信機が突然鳴り出す。

ボタンを押し、耳元にあてた。

「……もしもし」

『おい、どこ行ってるんだ? 予定時間までもうすぐだぞ?』

「外が、あまりにも綺麗だから。ちょっと見ていたんだ」

『相変わらずのロマンチストっぷりだな。そんな風景見飽きただろうが』

「飽きることなんてないよ。ここは僕にふさわしいから」

『はぁ? ……どうでもいいが、もう戻れ。あと1時間で来るぞ。既に落下報告も……』

「知ってる」

『……バカな考えはやめろ。お前がそうしたって、どうにもならんぞ。彼女は帰ってこない』

「それも、知ってるよ」

『だったら』

「……生きていても、どうにもならないだろう?」

『そんなことは……』

「僕が生きていなければ彼女が悲しむとか言うつもりなら、勘弁してくれよ。死者は語りはしない」

『だからって……』

「永遠がね」

『あ?』

「永遠が、欲しいんだ」

『突然、何を』

「ここはあまりにも、寒すぎる」
< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop