君だけのために
「いーえ、とりあえずご飯食べよう、走ってお腹すいた」
「うん、私もペコペコ」
私と茜は、とりあえず近くのファミレスに入った。
「私、和風ハンバーグ定食!ご飯と味噌汁で。」
「私は、山菜パスタでお願いします」
かしこまりました、と店員さんが厨房に注文している。
「沙弓、パスタだけ?少ないよ、足りる?」
「うん、大丈夫。相変わらず茜はよく食べるよね。」
茜は女の子のわりに、よく食べる。
なのに細くて綺麗だからうらやましい。
「食べるのが生きがいだからね、私は。」
生きがい……か。
私の生きがいは、きっと京君。
逢えない日が続いても、口約束が当たり前になっても…私は、京君が好き。
京君がいない生活なんて、耐えられないかもしれない。
まだ、私は京君の彼女だから…頑張れてるのかもしれない。
「彼氏、仕事になっちゃったんだ」
「うん。仕方ないんだけどね」
京君は今年から社会人だもん、慣れない仕事ばかりで大変だよね
まだ大学生の私は、その大変さがわからないから…口出し出来ない。
22歳の京君、19歳の私。
社会的にも私はまだ子供、京君は大人。
子供の私でも我慢くらいはできるから、寂しい気持ち我慢して京君を支えるの。
君だけのためにできるのは、きっとそれだけだから…。