私のウソ、彼のキモチ
私のウソ、彼のキモチ

-私の戸惑い、彼の勘違い

-ガタンゴトン


揺れる電車の中で私は学校へと向かっていた。
電車のアナウンスを聞くと、あと2つ駅を通り越したら学校へ着くと知った。

昨日の夜、夜更かしをしてしまい寝坊をしてしまった挙句まだ眠い。
あーあ、早く寝とけば良かったな。
そしたら電車に乗らなくても、いつもみたいに自転車で行けたのに。
そう思い電車に揺られていると、あっという間に私が降りる駅まで着いてしまった。

通勤のサラリーマンやOLなどに交じって電車から降りる。
その時、突然私の腕を誰かが強く握った。


「え、何・・・?」


パッと後ろを振り向くと全く身に覚えのない男が私の腕を確かに握りしめていた。
私、何かした?それすら口に出せない圧力で、その男は私に何か言いたげにジッと見つめてくる。


「あの・・・なんですか?」


やっと言葉を口にしたのが電車が発車してからだ。
これでは学校に遅刻してしまうと思い、ようやく彼に問いかけられたのだ。

しかし彼はなぜだか口を開こうとしない。
おまけに私の腕を握りしめたまま、ずんずんと歩き始めてしまった。

これはヤバイ。
私、誘拐されてるんじゃないの?
そんな事を本気で思いだした最中、彼の着ている制服に目がいった。
あ、この制服・・・私と一緒の学校だ。
なら、誘拐の可能性は・・・ないよね?

彼の足は一向に止まらない。
心なしか彼は学校へと向かっている気がする。
彼も私と同じ学校なんだから、ただ一緒に学校に行きたかっただけとか・・・?
いやいやいや、それだったらどうして一言も話さないの?
それに全く知らない人。


「ねぇ!・・・本当にどうしたの?私の腕握って。」


同じ学校だと知ったら敬語なんて使わなくても良いと思い今度は気軽に聞いてみた。
さっきは答えくれなかったけど、今度は答えてくれるだろうか。

数秒後、気がつけば学校の校門まで着いていた。
そうすると彼の足が止まり握っていた腕も離し彼は再び私を見つめた。
彼の目はさっきと同じ様に何かを言いたい目だった。

そして彼の口がゆっくりと開く。
やっと話すんだ。


「お前を俺の彼女にしてやってもいいけど?」
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