私のウソ、彼のキモチ
私は立ち上がり彼に背を向けた。
そしてチラリと横目で彼を見て私は足を進める。
横目で見た彼は私の方など一切見ていなくて何だか寂しささえ感じた。

何よ。
あんなに好き好きって言ってきたくせに。
でもこんな事を思う自分が不思議でたまらない。


「本気で帰んのかよ。」


ポツリと聞こえてきた小さな声。
その声はもちろん後ろに座っている彼で、ハッと後ろを振り向くと彼が恥ずかしそうにこちらを見ていた。

やばい、何か少し嬉しいかも。
これって遠まわしに“やっぱり帰るな”って言ってるんだよね?


「だって教えてくれないでしょう?教えてよ。」


どうせまた断られるだろうと思っていたが予想外に彼は黙り込んでしまった。
私はもう一度先程の位置に座り込み彼の横顔をチラリと横目で見た。


「ねぇ、何であんなに照れたの?俺様だからてっきり手が早いんだと思ったから驚いた。」

「だから・・・!」

「うん、何?」


やっと教えてくれるという確信が持てた私は彼を急かす様に“何?何なの?”と何回か繰り返し彼に迫った。

彼はそんな私を顔を赤くして見た。
今からそんなに恥ずかしい事でも言うの?
そう思わせる程、彼の頬は赤く染まっていた。丸で先程の彼を見ている様だ。


「ねぇ・・・そんなに顔赤くして恥ずかしい理由な訳?」


何度も問いかける私に彼は目を背けた。
教えてくれるかと思ったのに、教えてくれないの?

そんな事を思った時だった。
彼は急に彼が勢い良く立ち上がり今度は私の目を恥ずかしそうに真っ直ぐと見た。


「な、何?何なの・・・?!」


驚いた私は思わず声をあげてしまう。
彼の真っ赤な顔と、真っ直ぐな目があまりにもミスマッチだったから。
彼の人を見下す様な目と強気な顔はどこにもなかった。

そして彼は閉ざしていた口を開く。


「お前が好きだって言ってんだろ!」
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