Love Short Story's
もうすぐ授業が終わる15分前。
さっきの休憩時間の友達の言葉が私の頭の中を取り巻いている。
「恋は楽しい」それは如何なるものなのか。
なんて柄にもなくそんな事を考えていると隣の山内が私の机に四つ折りにされた紙を投げてきた。これは手紙、だろう。


「何?」


口パクで山内に尋ねる。いきなり手紙なんて少しは疑問に思うものだ。
そして山内も口パクで「いいから見ろ」と言ってきた。
私は言われた通りにその紙を開き中を見る。

手紙の内容はこうだ。
「お前の席の下に消しゴム落ちたから取って」
なんの変哲もない内容。ちぎったルーズリーフに黒のボールペンで書かれた雑な字。
私は自分の席の下を見て、落ちている消しゴムを探した。


「あ、あったよ。はい。ねぇ、手紙じゃなくても口で言った方が早くなかった?」


そんな事を言ってみると山内から返って来た言葉は「ん、ありがと。口で言うより手紙の方が良いじゃん?なんとなく。」だった。
なんとも馬鹿げた答えだが、そこは笑って流した。


「笑うなよー。どこが可笑しいんだよ。」

「あ、ごめん。」


別に可笑しくて笑った訳ではないが、思わず謝ってしまった。


「ま、いーけど。お前の笑った顔ってレアもんだし。」


体温が上昇する。
特に頬が焦げる様に熱い。
心臓もなんだかいつもより鼓動が激しい。
まともに見れない山内の顔。

これを、この過剰な反応を何と呼ぶ?
私は恋というものを知ってしまったのかもしれない。


end
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