Love Short Story's

・甘口な彼と辛口の私

夕暮れ時の放課後、私は東校舎の２階の中央にある生徒会室へと向かう。
なぜなら、ある男に呼ばれたからだ。


「あー。来た来た。やっほー、柚ちゃん。」


ドアを開けるとニッコリと満面の笑みを見せる男。
そいつこそが私を呼び出した男、平岡 陽だ。


「何なんだ、お前は･･･。いきなり呼び出しやがって。」


ハァと深い溜息をついてからイスに座っている平岡に尋ねる。
そうすると平岡がイスから立ち上がり小さな足音を立てて私の目の前へとやって来た。


「な、何だよ。そんなに見るな！それより用事は何だ！」


近寄ってくる平岡の胸をガバッと押すが私の手は簡単に平岡によって掴まれてしまう。

そしてその隙に近づいてくる平岡の顔。
反射的にギュッと両目をつむってしまう。


「ただ柚ちゃんに会いたかっただけ、だよ。」


突然、耳元で囁かれた言葉に体はビクッと震えた。
こいつは･･･どこまでも理解ができない奴だ。
生徒会長のくせに、アホだし馬鹿だし変態だ。
でも、それなりに頭は良くてテストは毎回首位をキープしているそうだ。


「あ、柚ちゃん顔真っ赤ー。可愛いー。」


そう言って笑うとポンポンと私の頭を撫でて笑顔を見せる平岡。
･･･コイツは人を、おちょくってるのか？というより馬鹿にしているな。
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表紙・目次

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