Love Short Story's

・愛だ恋だと嘆いても

「おい。俺、試合勝ったから約束通りジュースおごりな。」


空手の道場で練習をしていると、やって来たユウキ。
それに偉そうな口調と上から目線の言葉。


「うそー!勝ったの?!約束なんかしなかったら良かったぁ・・・!」


あたしはユウキが出る空手の試合に勝ったらジュースを買ったあげる約束をしたのだ。


「ほら、早く自販に行くぞ。」


なんて言ってスタスタと行ってしまうユウキの後を財布を持って追い掛ける。
本当に歩くペースを考えて欲しいよ。


「俺、これが良い。」

「えぇ!これ150円じゃん!100円のか、せめて120円にしてよ。」

「お前は、どこの貧乏人だっつの。」


そんなのしょうがないじゃん。今月は、もうお小遣いがないんだから!
あたしだって大変なんだから。


「はいはい、わかったよ。買えば良いんでしょー。」


何となく目で訴えられてる気がして自販機にチャリンと小銭を入れた。


「えーと・・・。このジュースだよね?」


ボタンを押す前にユウキに確認をする。


「やっぱりジュースはいらね。それより俺は、コッチが良い。」

「は?」


その瞬間にユウキの顔がそっと近づいて来て唇が重なった。
本当に一瞬の事で目を開けたままだった。


「なっ!ユウキ何するの・・・?!」

「コッチの方が安上がりでしょ。それに俺、ジュースよりユキの方が好きだし。」


気のせいかな。
今、物凄くユウキがカッコ良く見えるのは-
ううん、気のせいなんかじゃない。

だって心臓がドキドキいってるもん。


end
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